[パン屋の働きかた」これまでと、これから。パン職人は頭を変えよう!の件

パン

報告します。

20年前のパン屋の働き方

僕がパン屋になったのは今から20年前の事でした。

会社の求人票には7時~16時。休憩1時間と記載されていました。

当時の僕は高校卒業したばかりの18歳で遊びたい盛りでした。16時に仕事が終わるなら終わったあと沢山遊べるな~と思い、全国チェーンのリテールベーカリー会社へ就職しました。

入社して初日の仕事の日。

始業時間が7時からでしたが、やる気を見せる為、早めの6時30分に工房に入りましたが、先輩達は全員すでに来て仕事をしていました。
お昼頃に「休憩に行ってこいよ」と言われたので休憩に行きますが、先輩達は行きません。

16時の退勤の時間になると、みんな退勤のタイムカードを押しはじめ「今日は初日だから帰っていいよ」と言われたのですが、みんなは全然帰る雰囲気ではありませんでした。

次の日、先輩に「いつも何時まで仕事してるんですか?」と質問すると「だいたい19時頃かな」と返ってきました。

タイムカードは16時の定時なのに、実際は19時か~と違和感を感じましたが、当時の僕は社会人はそういう物なのかと納得しました。

それからは空気を読んで、就業時間の1時間前には入り、休憩はトイレ休憩と一服で15分程度。16時の定時にタイムカードを押し、仕事が終わる19時頃まで仕事をするようになりました。

順調に仕事を覚えていき、早番もやるようになりました。

早番は夜中の2時出勤でしたが、2時間前の12時には工房に入ります。

新しい仕事を覚える時は休日に出てきて教えてもらう。

先輩もそうでしたし、20年前はそれが当たり前でした。


ブラック企業問題


そんな働き方を続けて10年ほどたった頃、電通の過労による自殺やマクドナルドの名ばかり店長問題などでブラック企業についてメディアや世間が取り上げるようになりました。

僕の会社も敏感に反応して、タイムカードを適正に書きましょう。となりました。

ですが、会社が求める数字は、今までサービス残業でなりたっていた数字なので、当時の店長などは、ちゃんと付けてくれません。

ちゃんと付けてしまうと、目標の数字にいかなく、上司に圧力をかけられてしまうからです。


会社はタイムカードをちゃんと付けなさいとブラック企業じゃないよアピールをしますが、現場は目標数字を達成させるため、ちゃんと付けているとウソの報告をし、現場で働いていた人はサービス残業。

こんな状態が続いていました。

しかし現場のウソなんてすぐバレるものです。

退職者や現場の従業員の家族から会社へ苦情が入ったのです。

タイムカードを適正に付けるようになる


会社も家族からの苦情となると、何もしない訳にはいかなくなり、数字は気にしなくて良いので、正確な時間を付けなさいと号令を出しました。

求めれられる数字がなくなったので、みんなタイムカードを正確に書くようになりました。

どうなったと思いますか?

労務費が増大し、サービス残業でなりたっていた利益が消えたので、会社は赤字に転じ、ボーナスが大幅にカットされました。

残業手当で毎月の給料は増えましたが、ボーナスは減ったので、年収は変化なしでした。

残念なのは店長達です。

店長は中間管理職で残業の概念がありません。
月収は変わらず、ボーナスが減ったので年収はダウンしてしまいました。

僕もこのころに店長に昇格したので、店長のメリットだった高額ボーナスをもらえた事がありません。

さらに部下の社員には残業手当が入るので、残業手当が店長手当を超え、給料逆転現象がおきました。

店長主体の働き方


会社も労務費の圧迫で業績が悪くなったので、当然ながら再び数字を求めるようになりました。

店長達に部下の残業を減らせ、させるなと言うようになりました。

今までは全員でサービス残業をして仕事を終わらせていましたが、残業代が支払われるようになり、残業をさせずに数字を出せとという事なので、

部下はなるべく定時で帰らせ、残った仕事を残業が発生しない店長が被る働き方に変化しました。

店長地獄時期です。

店長だけが遅くまで働き、休日出勤して働く日々が続きました。

しかしこの働き方は下策も下策です。

店長を降りたいと申し出る人が増え、同時に店長になりたいと思う人がいなくなりました。

合理的な働き方


会社も危機感を抱き、合理的な製造方法が出来るよう変化をしていきました。

1.生地の統一化

 以前は1つの生地から2~3種類のパンを作るだけでしたが、生地を統一し、一つの生地から5~6種類のパンが作れるようにした。これにより、仕込み本数が減り、時間の短縮になる


2.冷凍耐性のある生地配合に変化

 イーストや改良剤を冷凍耐性のある物に変え、以前は毎日仕込んでいた物を3~4日に一回仕込んで冷凍する事で、仕込み本数、成形回数を減らし時間短縮になる

3.種の利用

 種を利用し、発酵時間を短縮する事で朝の出勤時間を遅らせる。


4.計算表などのシステム

 仕込む量などオーダー表から計算するが、システム化により、オーダーを打ち込むだけで、必要なk数が自動で出てくるので、時間の短縮になる


このように仕事が合理化され、仕事量が減り、業務内容が改善されていきました。



パン職人は頭を変えよう!これからの働きかた



質問します。今だにこんな考えもっていませんか?

1.仕事は30分前に来てやるものだ

2.休憩1時間行くくらいなら、早く終わらせて1時間早く帰りたい

3.仕事を覚えるんなら休みを使って勉強しに来い


昔は当たり前の考え方でこれが自分自身を作ってきた常識でした。

仕事は余裕をもってやるべきだし、休憩なくても体力あるんで平気だし1時間あってもやる事ないし、自分を成長させるには自分の時間を使うのが当然!

この考え方は捨てて下さい。
抵抗があるのは十分分かりますが、考え方を変えないと、この先時代に置いて行かれます。

今の当たり前は、時間通りに働き、休憩はきっちり1時間。残業は分単位で付ける。
当たり前の事が当たり前なのです。


それは分かっているし、そうさせているよ!って声が聞こえてきますが、それをあなたが率先してやらないと意味がありません。

部下に1時間休憩に行かせても、あなたが行っていないと、部下は自分もそういないといけないのかな?と不安になり退職します。

あなたが休日出勤すると、部下は自分も将来休日出勤しないといけないのかと不安になり退職します。


そんな事で辞めるなんて弱っちいな!と思うかもしれませんが、上記の考え方が今の時代の正解です。


仕事が合理化されたように、人の考え方も合理化されています。

昔・会社の為に!             今・自分の人生の為に!

昔・仕事なんだから!自分の時間を使え。  今・仕事なんだから就業時間内の中だけで。

受け入れましょう。

これからの評価の基準


昔は休憩もせず、遅くまで必死に仕事をしていた人が評価されてきました。

体を使い、気合と根性で仕事をしてきたバリバリの体育会系です。

そういう人が出世していきました。

ですが、これからは違います。

段取りよく理論的に物事を考え、与えられた時間で仕事をこなす人が評価されるべきです。

現在の上役の人に体育会系が多いので、すぐに変える事は難しいですが、だんだんと体育会系の需要はなくなりつつあります。


例えば売り上げを上げる為に何をやるか?
という議題になった時、理論的に物事を考える人は客単価を上げる為に高単価商品を売り込みましょう。と言えますが、体育会系は良い製品と良い接客をすれば売り上げはあがるんだ。と具体例のない曖昧な事を言いがちです。

今後は時間内に仕事をこなす働き方により、体より頭を使い仕事をするようになるので、体でバリバリ仕事をしてきた人では考えられないようなやり方で結果を出していくでしょう。

その考えかたがあれば、今後のパン自体も変わるかもしれません。

現在、様々なパンのコンテストがありますが、入賞するパンは時間をかけ、こだわったパンが多いです。

ですが、そういうコンテストのパンは売れません。
こだわりを出そうと足し算のしすぎで、形や味が斬新すぎ、一般には受け入れられない事が多いです。


これから新しい働き方で新しい考えかたをもったパン職人がつくる、パンが生まれるのが楽しみです。





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