パン職人を悩ます時代の流れとこれからの育成の件

パン


パン職人~パンのプロフェッショナルの道のり

パン職人とは、パン作りのスペシャルとして、パン屋やホテルのベーカリーなどで、消費者に美味しいパンを製造する人です。

覚える事は多く、小麦粉やイーストの特性、塩や砂糖など副材料の役割の知識はもちろん、生地の配合、ホイロ具合、焼き方など多岐に渡ります。

どんなにセンスが良くとも一人前のパン職人と呼べるようになるには、少なくとも3年はかかります。


理由は手の感覚です。

知識などは速く覚えようと努力すれば覚える事ができますが、手の感覚だけはそうはいきません。

日々の積み重ねで経験を積むことにより生地の良し悪しが分かる様になります。


パンはイースト菌で発酵する生き物です。

同じ環境、同じ配合、同じミキシングで同じ温度の生地を作っても毎日同じ生地にはなりません。

そこで、人間の手の感覚でパンチの強さを変えたり、丸め時の力加減、成形の力加減で同じパンになるよう仕上げます。

この手の感覚が身に付くまで、最低3年間は必要です。

毎日触り一日中パンと向き合う事でようやく身に付き、一人前のパン職人と言えます。

一昔前の仕事の覚え方


パンの仕事を覚える時は基本的な作業の仕方は先輩パン職人が教えてくれますが、あくまで基本的な所だけです。

理由は手の感覚は経験で得る物なので、教える事ができません。教えられてもできません。


なので、新米パン職人は速く仕事を覚える為に、始業時間より早く来て休憩もとらず工程が遅れないようパンを作ります。

自分の任されたポジションをこなせるようになると、先輩パン職人の仕事を見て盗み、聞いて教わり、時には休みの日に出てきて教えてもらい仕事を覚える物でした。

それ位の自分の時間を犠牲にして手の感覚を身に付け、ようやくパン職人となっていました。

それがどこの業種でも同じ、職人の世界でした。

時代の流れ

しかし今はそんな事をすれば、すぐ問題となってしまいます。

仮に出勤時間が5時だとし、「新米は5時に来ても工程が遅れるから4時30分に来て余裕をもってやりなさい。」

これがアウト


「仕事が覚えられないなら休みに来て勉強しなさい」

はいアウト 


「工程遅れてるんだから休憩早めに帰ってきなさい」

アウト

まぁ時代の流れですよね。


一昔前の仕事の覚え方をしてきた職人からすれば仕事をなめてると思うかもしれませんが、その考え方は時代遅れとなるので考えなおさないといけません。


ではこちらの場合はどうでしょうか?



※現実にあった例

ベテランパン職人は休憩は数分ですませ1時間もとらずに働くのが当たり前になっていました。

その職場に新人が入ってきました。
ベテランパン職人は今の時代、早く出勤させたり、休憩を行かさないのはダメだと認識していたので、

新人にはきちんと出勤時間ピッタリで出勤させ、休憩もちゃんと1時間とらせていました。

しかし、新人はベテランパン職人が休憩をあまりしていない事で自分も将来そういう働き方をしないといけないのか?と不安になり人事に訴えました。


このベテランパン職人はどうなったとおもいますか?

懲罰委員会にかけられ処分されました。



パンは、単価が安いので薄利多売で利益をだせます。手作業のリテールベーカリーは仕事のスピードが重要になってきます。

そこに仕事の遅い新人が入ってくると、新人をカバーする為、利益を出すためベテランに負担がいきます。

会社の業績を死守する為、休憩を減らし自分を犠牲にしたベテランが処分される事に違和感を感じます。

何が正しく何が間違っているかは時代が判断する事です。

昔の正義が今は悪なんて事は歴史を見れば明快です。

ですが今回の件は同じパン職人として困惑しました。


これからの育成~これからのパン作り

これからの時代パン職人として新米職人を育てるには、今まで以上の時間をかけ、ゆっくりと育てないといけません。

また、自分もそれに合わせ同じような働き方をし、新人と足並みをそろえないといけません。

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ほんとにそれでいいのか?

そんな事でひとより頭一個抜ける事はできるのか?

パンの世界でも優秀なパン職人はやはり一部の天才かすごい努力のできる人です。

時間どおりの与えられた時間だけで、プロフェッショナルになるのは無理だと思います。

新人と足並み揃えて新人目線の育成をするのであれば、今リテールベーカリーのパンの作り方自体を変化させないといけません。

スピード重視から効率重視

手作業から機械化

粉から手作りから冷凍生地

このように効率化をすれば、職人の手の感覚や手捌きは不必要になり、冷凍生地により、生地の良し悪しを判断する育成で一番時間のかかる手の感覚を習得させなくとも、パンが作られるようになります。


企業の経営者は従来のやり方で現場任せではなく、時代に合わせた今後を熟考しなければなりません。

まとめ

今回の話は必ずしも今の時代の人達が皆そういう考え方ではないのは承知しています。

ただ様々な年代の職人が活躍しているパン業界で価値観の違いはひしひしと感じます。

・パンの仕事が大好きで、時間関係なくパンと向き合っていたい人。

・職人ではなくサラリーマンとして、パン屋を選び、与えられた仕事だけやって満足な人。
・利益や効率なんかより、パンは粉から手作りして美味しいパンを作ってこそパン屋だろ、って思う人

・利益がないと企業としてなりたたないから手間暇かけるべきじゃない、味はおちるとも利益を優先し てパンを作るのが正しいって思う人

・何も考えずにパンを作っている人

様々です。


もしあなたがパン職人になりたいと思ってここを見ているなら、どのようなパン職人になりたいか、何故パン屋になりたいと思ったのか、よく考えて下さい。




もしあなたが現在パン職人であるなら、何を考えながらパンを作っていますか?また今後どうなっていくのが正しいのかを考えて下さい。

僕の今の見解は

時間など関係なく手間暇かけても美味しいパンを作っていきたいのであれば、独立すべきだと思います。

オンリーワンを作り、そのこだわりを発揮すればお客さんは来てくれます。


味にこだわるより効率や利益が重要。また休みや自分の時間はちゃんと確保したいと考えているなら会社員のパン屋です。

就業規則が守られ、時間外労働は訴えれば改善されます。
出世も数字を出せば上に上がれます。



あなたはどちらをえらびますか?

パン・お菓子作りの材料・器具専門店【TOMIZ(富澤商店)】
















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