フランス小麦粉タイプ別ガイド:T45・T55・T65・T75以上の特徴と日本での代用品まとめ

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はじめに

フランスのパン屋やのレシピでよく見かける「小麦粉 T55」「小麦粉 T65」という表記。
これはフランス独自の タイプ表示(Type) で、小麦粉に含まれる 灰分量(ミネラル分や外皮の残り具合) を基準にした分類です。

日本では「強力粉」「準強力粉」「薄力粉」といったたんぱく質量による分類が一般的なため、フランスの T55 や T65 をそのまま置き換えることはできません。
しかし、パン作りやお菓子作りをしている方にとって「どんな特徴があるのか」「日本ではどんな粉を代用できるのか」を知ることは大きなヒントになります。

この記事では、T45・T55・T65・T75以上のフランス粉の特徴と、日本での代用品や国産粉の例をわかりやすくまとめました。


フランスの小麦粉「タイプ表示」とは?

フランスの小麦粉は「Type + 数字」で分類されます。この数字は灰分量(ミネラル分の残り具合)を表しており、数字が大きいほど色が濃く、風味が強くなります。

  • T45 … 非常に白い粉。フランスパンやパイ生地や菓子用。
  • T55 … 白さを残した標準的なフランスパン用粉。
  • T65 … 風味が豊かでハード系パンに向く。
  • T75〜T110 … 胚芽や外皮成分を多く残した粉。田舎パンや全粒風パンに。

つまり、数字が小さいほど白く繊細、大きいほど香りとコクが強いと覚えておくとイメージしやすいです。


T45 の特徴と日本での代用品

特徴

灰分量:0.40〜0.50%前後
(フランスのタイプ分類は灰分量=ミネラル分で決まります)

最も精白度が高い小麦粉で、きめ細かく真っ白な粉。

タンパク質量もやや低めでグルテンが弱いため、パンよりも 菓子やデニッシュ系 に向いています。

フランスでは クロワッサンやヴィエノワズリー(デニッシュ系)、お菓子のスポンジやパイ生地 にも広く使われています。

日本での代用品

日清製粉「リスドォル」

成分 基準値 蛋白10.7% 灰分0.45%

  • フランス粉を意識した国内製粉。クロワッサンやバゲットに向く。
  • 特にT45の代用としては、折込生地や菓子パンにも使えます

ニップン「フランスパン専用粉Fナポレオン」

成分 基準値:たん白質 11.8±0.5% 灰分 0.42±0.04%

  • 香ばしいフランスパンが焼けるフランスパン専用の準強力粉です。
    小麦本来の味と香りを重視したフランスパン用粉です。作業性にも優れ、デニッシュペストリーにもご利用いただけます。

鳥越製粉 「フランス粉」

成分 基準値:蛋白 11.9% 灰分 0.44%

  • 日本で最初に開発されたフランスパン用粉。
    小麦粉本来の風味と、コクのある香ばしさをもった万能タイプのフランスパン専用粉。

T55 の特徴と日本での代用品

特徴

灰分量:0.50〜0.60%程度

フランスで最も一般的な小麦粉で、バゲット用の標準粉

精白度はT45より低く、ミネラルを少し多く含むため、香ばしさや風味が出やすい。

外はパリッと、中は気泡の入ったもっちり食感になる。

日本での代用品

日清製粉 テロワールピュール

成分 粗蛋白 9.5±0.7%  灰分 0.53%(0.58%以下)

・フランス産小麦100%使用したフランスパン専用粉です。長時間発酵にも優れ、しっかりとした伸展性の良い生地になるため、かつ扱いやすく思い通りの成形が可能です。

ヤマチュウ La Lune(ラ・リュンヌ)Type55 

成分 基準値 蛋白11% 灰分0.55%

・北海道産小麦「はるきらり」を100%使用した、フランスパン用の準強力粉です。


日本製粉 クラシック

成分 基準値 蛋白11.5% 灰分0.55%

北海道産小麦を使ったフランスパン用粉です。プロからも高い評価を受けている小麦粉で様々なハード系のパンが作れます。

T65 の特徴と日本での代用品

特徴

  • 灰分量:0.60〜0.70%程度
  • T55よりも外皮成分(ミネラル)を多く含み、香ばしさ・風味が増す。
  • グルテン量はしっかりあり、パンに力強さを与える。
  • 粉の色はT55よりややクリーム色がかる。
  • クラスト(外皮)は濃い焼き色になりやすく、香ばしい香りが強い。
  • クラム(内相)はややベージュがかり、T55よりも小麦の風味を強く感じる。
  • 大きな気泡と、もちっとした食感を生みやすい。
  • バゲット・カンパーニュ などのハード系に最適。
  • 外皮をパリッと、中身をしっかりした食感に仕上げたいときに使う。
  • ライ麦粉や全粒粉とブレンドすると、より風味豊かなパンになる。

日本での代用品

日清製粉 レジャンデール

成分 基準値  蛋白:12.2%  灰分:0.60%

・小麦の味・香りを最大限に生かした小麦粉です。また、ライ麦をはじめとする様々な穀粉との相性・バランスもよく、食事パンのベースとして幅広くご活用いただけます。

日清製粉 メルベイユ

成分 基準値 粗蛋白:10.0±1.0% 灰分:0.6±0.1%

フランス語で「素晴らしい」という意味のメルベイユ。
深い味わいと芳醇な香りが特長のフランス小麦を厳選し、数種類をブレンドして作られています。


T75 以上(T80・T85・T110など)の特徴と日本での代用品

特徴

  • 胚芽や外皮を多く残し、灰分が高い。
  • クラムは褐色気味で、香り・旨味・コクが強い。
  • 吸水性が高く、生地はやや重くなりやすい。
  • 田舎パン(パン・ド・カンパーニュ)や全粒粉ブレンドのパンに向く。

日本での代用品

江別製粉「TYPE ER」

成分 基準値 蛋白12.2% 灰分0.7%

  • 本場フランスの小麦粉『タイプ65』を目指して仕上げた小麦の香りを最大に引き出したハードブレッド用の粉です。

江別製粉「TYPE100」

成分 基準値 蛋白14.8% 灰分1.09%

北海道産小麦で、フランス T80〜T110 を意識した粉。力強い風味が特徴。

石臼挽き全粒粉(国産小麦各社) をブレンドして灰分を上げる方法も有効。

準強力粉 80〜90%に全粒粉 10〜20%を混ぜると T75 以上のニュアンスを再現できる。


まとめ

  • T45… 白さ重視。軽やかで食べやすいパン。→ 日本では「リスドォル」などで代用。
  • T55 … 白さと風味のバランスが良くフランスパンに最適→「テロワールピュール」で代用。
  • T65 … 風味・香り豊か。ハード系やバゲットに最適。→ 「メルベイユ」などで代用。
  • T75 以上 … 香ばしくコク深い。田舎パンや全粒パン向け。→ 「TYPE100」や全粒粉ブレンドで再現。

フランス小麦粉のタイプ表示は日本には存在しない基準で基本的にはフランスの製粉の仕方と日本の製粉の仕方は違うのでまったく同じフランスの小麦粉を使いたいなら輸入するしかありません。

しかし国産粉でもブレンドや工夫次第でかなり近い仕上がりを目指せます。

また、たまに灰分量だけで判断してTYPE45は薄力粉だという情報が流れていますがパンをつくるなら別物なので薄力と準強力粉はブレンドしてください。


パン作りが好きな方は、ぜひ 粉のタイプによる風味の違い を体験してみてください。


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